明珍火箸風鈴の種類と音色の違い比較まとめ

(画像は楽天市場のアーチェリー様より)
明珍火箸風鈴について、一体どんな種類のものがあって、値段によって何が違うのかを比較してまとめてみましたので、購入、検討の際のご参考にしていただければと思います。


明珍火箸風鈴の原料と火箸の種類について

まず、明珍火箸の原料ですが、一般販売されているものは、基本的には西洋鉄(鉄鉱石とコークスを原料に大規模な製鉄所で作る「SS鋼」)で作られています。日本刀の原料である玉鋼(たまはがね、砂鉄から作る「和鉄」)で作るものは30万円以上する注文生産品になりますので、工房である明珍火箸本舗ですら、普段は置かれていません。ということで、ここでは一般的に手に入る、洋鉄で作られた市販品のものについてで話を進めたいと思います。


火箸の型は、全部で20種類ほどありますが、市販品としては主に4種類があります。冒頭の画像がその4種類ですが、左からわらび型、つくし型、瓦釘型(かわくぎがた、かわらくぎがた)、つづみ型です。

植物のわらびのように、先っぽがニュルッとなっているのがわらび型、植物のつくしのように先っぽがスッと伸びる形なのがつくし型、瓦の釘のように四角く角ばった形をしているのが瓦釘型、つくし型とは対照的に先っぽが太くなっていて太鼓のつづみのような形になっているのがつづみ型です。


以上の主に4種類の火箸の型を組み合わせて、市販品の明珍火箸風鈴は、値段別に全部で5種類が展開されています。値段による違いは、大きくは長さと槌目(つちめ)と呼ばれる火箸表面に入れられたデコボコ加工の有無、そして火箸に対して槌を打った回数ですが、すべて音色が異なりますので、音を比較して選ばれるのがよいかと思います。

ちなみに工房である明珍火箸本舗で実際に聴き比べて買っていかれる方の間で一番人気があるのは12000円の明珍火箸風鈴(上上)のものです。YouTubeに上がっているものは、明珍火箸風鈴(上)が多いです。


ということで、5種類の市販品の明珍火箸風鈴に関して、ご紹介したいと思います。


明珍火箸風鈴 並

定価:5000円+税
火箸の構成:つくし型、瓦釘型、つづみ型、わらび型各1本(火箸の長さ 約20cm)
ネット上で購入可能な場所:なし(ヤフオクで出品されていることはある)

4つの火箸の形がすべて異なるタイプの風鈴。他の明珍火箸風鈴と比べてちょっと高めの音を奏でます。ネット上を隅から隅まで探しましたが、現在購入できるサイトはなし。兵庫姫路の実店舗で購入するか、ヤフオクなどで運良く出品されていたものを落札するしかないと思います。

「明珍火箸風鈴 並」の音色は下記の動画で聴くことができます。



明珍火箸風鈴 上

定価:8000円+税
火箸の構成:つくし型2本、瓦釘型2本(火箸の長さ 約20cm)
ネット上で購入可能なサイト:ヤマトヤシキ オンラインショップ

つくし型の丸い火箸と、瓦釘型の四角い火箸で構成されている風鈴。YouTubeの明珍火箸風鈴動画の中では一番多く上がっています。並の風鈴のチリーンとした高めの音色と比較すると、より落ち着いたリーンとした音色になっています。

ネット上では唯一ヤマトヤシキオンラインショップで購入が可能です。明珍火箸風鈴の地元姫路には大きく山陽百貨店とヤマトヤシキの2つの地元の百貨店があり、そのうちの1つがやっているオンラインショップです。

「明珍火箸風鈴 上」の音色は下記の動画で聴くことができます。



明珍火箸風鈴 上上

定価:12000円+税
火箸の構成:槌目付つくし型4本(火箸の長さ 約20cm)
ネット上で購入可能なサイト:髙島屋オンラインストア

すべてつくし型という丸い火箸で構成された風鈴。明珍火箸風鈴を作っている工房である明珍火箸本舗で、ひと通り聴き比べて買っていくお客さんの中ではこの風鈴の音が一番人気です。落ち着いた深い響きを奏でる音色が特徴です。

ネット上で購入できるのは髙島屋オンラインストアです。楽天やアマゾンなど、主要なサイトもひと通り確認はしたのですが、商品の種類を明確に記載して、プレミア価格を付けずに定価で販売しているのは髙島屋だけでしたので、ネット上で明珍火箸風鈴を購入する場合は、髙島屋オンラインストアで買うのがベストです。

「明珍火箸風鈴 上上」の音色は下記の動画で聴くことができます。



明珍火箸風鈴 特上

定価:18000円+税
火箸の構成:槌目付丸型4本(火箸の長さ 約24cm)
ネット上で購入可能なサイト:髙島屋オンラインストア

丸型の火箸4本で構成された明珍火箸風鈴。「上上」のつくし型との違いは火箸の持ち手側の先端部分が、つくしのようにスッと細くなっていないこと。また、他の風鈴よりも長さがあるので、より深いトーンの音色になっています。

音色は、一般的には火箸の長さが短いほど高くなり、長いほど深みのあるものになりますが、それだけではなく、火箸を槌で打った回数によっても変わります。値段の高いものほど多く槌で打っているので、最初の鉄材だったときとはまるで違う音になるのが明珍火箸風鈴の特徴であり、機械生産ではなく、すべて手作りにこだわっている理由です。

ネット上では髙島屋オンラインストアで購入することができます。

「明珍火箸風鈴 特上」の音色は下記の動画で聴くことができます。



明珍風鈴 特々上

(画像は兵庫県物産協会様より)
定価:35000円+税
火箸の構成:第52代明珍宗理作銘入槌目付つくし型4本(火箸の長さ 約27~28cm)
ネット上で購入可能なサイト:なし(ヤフオクで出品されていることはある)

丸い形のつくし型の火箸4本で構成されているのは「上上」と同様ですが、火箸の長さが27~28cmと長くなっている上、製作者である第52代明珍宗理(みょうちんむねみち)氏の銘が火箸に彫られているのが特徴です。

確認した限り、ネット上で購入できるサイトはなく、YouTubeにも動画は上がっていないようなので、購入される方はごく限られているということでしょう。ヤフオクで出品されているのを確認したことはあるので、手に入れたい場合はヤフオクか、もしくは明珍火箸風鈴の地元、姫路の実店舗での購入になると思います。

玉鋼火箸

YouTubeで、かなり珍しい第五十二代 明珍宗理作の玉鋼火箸の音色を奏でた動画を上げられている方がいたのでご紹介しておきます。宮内庁から特別に譲り受けたものだそうです。


玉鋼(たまはがね)というのは、刀に使う特別な鉄です。鉄には大きく洋鉄と和鉄の2種類があります。洋鉄は現在広く使われている製法による鉄で、鉄鉱石から作成され、リン、硫黄、銅、チタンなどの不純物の含有率が比較的高い鉄です。

一方和鉄は、砂鉄を用いて、手作業で3昼夜木炭を燃やす、「たたら」と呼ばれる製鉄法で作成されます。この製法で作ると、不純物が少なくなるので、さびに強くなります。この和鉄の中でも最上級のものが玉鋼(たまはがね)と呼ばれるものです。

玉鋼は生成に非常に手間がかかるため、洋鉄の数十倍もの値段で取引されます。また、生産量が非常に限られているため、基本的に日本刀の製作者である刀匠以外に販売されることがありません。

玉鋼火箸は、明珍火箸風鈴の製作者である明珍宗理氏が日本刀剣保存協会に何度も足を運び、長年の交渉の末に手に入れることが出来た玉鋼を使って作られた特別品であるため、値段は30万円以上と非常に高価で、また受注生産品なので、工房の明珍火箸本舗にも置かれていません。

音色は、今までの明珍火箸風鈴よりもさらに澄んでいて、さらにうねりも加わっているのが特徴です。

複数種類の明珍火箸風鈴の同時聴き比べ比較

最後に、ひとつの動画で複数の明珍火箸風鈴の聴き比べができる動画がいくつか上がっていましたので、そちらもご紹介しておきます。同じ明珍火箸風鈴でも、種類によってそれぞれ音色が違うというのが改めて確認ができるかと思います。